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ルフは怯えきっていたが、自分の横で同じように恐れおののいている顔を見て安堵した。今は遠く離れているが、とある地の領主を務めている彼は、生まれも育ちもルフと同じく内陸だ。寄せては砂をさらっていく白波、見渡す限りの水、水、水……。森は見慣れていても、この海というものは初めて見るのだった。
隣の男が恐れている今こそ勇気を見せるときだった。ルフは意気込んで胸をふくらませ、しかし行動は慎重に、つま先だけをちょんと水にふれた、つもりだった。だがタイミング悪く大きな波が打ち寄せて、くるぶしどころかすねまでビチャンと漬かる。
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