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昔に聞いた寝物語を思い出す。遠くとおくの、見渡す限りの大きな川にはばけものがいるのだと、だから行ってはいけないよと言ったのは誰だっただろうか。親か兄弟か、それとももしかしたら領主だったかもしれない。
ルフの目の前には、ばけものの名がふさわしい生き物がいた。茶と灰が混じったまだら色、小山のような体躯、そしてグネグネうごめくいくつもの長い触手。それが屈強な騎士や馬を何人も抱え込み、持ち上げている。ルフの体が総毛立った。
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