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「夢じゃないよ、現実。初めまして(ではないんだけど……)僕は、銀狐の銀と申します。助けていただきありがとうございました。私はずっとあなたを探していました。どうか、あなたの力を貸してください」
いきなりのことで状況の掴めない雪奈の頭はパニックだ。
「いきなり言われても……。君、人間じゃないんだよね……。私の力? 助ける?いったいどうやって」
「すみません、いきなり言われても困りますよね……」
銀の耳と尻尾はシュンと垂れ下がり、今にも消えてなくなりそうな勢いである。
「分かった! 分かったから、元気を出して。私に分かるようにちゃんと説明して」
今までの落ち込みはなかったかのように、パァっと銀の周りには花が咲いた。
「本当ですか! ありがとうござい……」
バタン!
「えっ、ちょっ、ちょっと銀くん」
グ――。銀の腹の虫が盛大に音を立てた。
「あ、お腹が空いているのね。何か作るからちょっと待ってて」
「すみません、ありがとうございます」
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
「そう、よかった」
相当空腹だったのだろう。銀は物凄い勢いで平らげた。すると、「ボン」と白い煙に包まれた銀は、雪奈と同じくらいの歳の青年に変化した。
「えっ、どういうこと。さっきの少年は?」
「僕が銀です。やっといつもの姿に戻ることができました」
銀が言うには、体力や霊力を失ってしまうと、省エネ型、小さくなるらしい。
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