159人が本棚に入れています
本棚に追加
「この本は貴方に幸福を与えてくれますよ」
「は、はぁ・・・」
女性はテッシュ配りの感覚で、1冊の本を私に手渡した
「貴方は、もう1人の自分が欲しいと思ったことはありませんか?」
「・・・思ったことがないと言ったらウソになります」
と、曖昧な返事をした
だって、本当のことを話したら、そのまま変な店に連れ込まれそうだし
「それは完璧な貴方が作り出せる本。ですが、最後に一つだけ。
取扱説明書は最後までしっかりとお読みください。それでは失礼します」
「ちょ、まっ・・・」
女性はそれだけを言い残し、私の前から消えた
あたりを見渡すも、さっきの女性はどこにもいなかった
「完璧な私・・・」
今の私には必要だ。なんなら、喉から手が出るほど欲しい代物だった
それが、こんな簡単に手に入るなんてまるで夢のよう
だけど、使っていいのだろうか
あとから、高額な金額を要求されても、中学生の私には払えないし
って、別にいっか
女性がくれたものなんだし
なにかあれば、使ってないですって嘘ついて返せばいいんだし
私ってなんて頭がいいんだろ
だけど、この時の私は知らなかったのだ
まさか、あんなことが起きるなんて
最初のコメントを投稿しよう!