もう1人の自分

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「この本は貴方に幸福を与えてくれますよ」 「は、はぁ・・・」 女性はテッシュ配りの感覚で、1冊の本を私に手渡した 「貴方は、もう1人の自分が欲しいと思ったことはありませんか?」 「・・・思ったことがないと言ったらウソになります」 と、曖昧な返事をした だって、本当のことを話したら、そのまま変な店に連れ込まれそうだし 「それは完璧な貴方が作り出せる本。ですが、最後に一つだけ。 取扱説明書は最後までしっかりとお読みください。それでは失礼します」 「ちょ、まっ・・・」 女性はそれだけを言い残し、私の前から消えた あたりを見渡すも、さっきの女性はどこにもいなかった 「完璧な私・・・」 今の私には必要だ。なんなら、喉から手が出るほど欲しい代物だった それが、こんな簡単に手に入るなんてまるで夢のよう だけど、使っていいのだろうか あとから、高額な金額を要求されても、中学生の私には払えないし って、別にいっか 女性がくれたものなんだし なにかあれば、使ってないですって嘘ついて返せばいいんだし 私ってなんて頭がいいんだろ だけど、この時の私は知らなかったのだ まさか、あんなことが起きるなんて
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