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僕自身、はっきりと覚えては無いけれども学生の頃だと思う。高校生か大学生かその辺り、何となくだけど世の中、自力で生きていけるんだと思い始めた頃。その位からモヤモヤした感覚があった。蜘蛛の巣みたいに体にまとわりつくそれは確かに不快だったが、耐えられない程では無かった。だがしかし、あの頃から10年近く経った今、蜘蛛の巣は僕が気に留めないのをいい事にどんどん大きく、より複雑怪奇な形へ姿を変えて行き、宿主の僕を脅かしている。何より恐ろしのは正体が解らないと言う事で、ただ間違いなく言えるのは、形ある何か物質的な物に対する感覚では無いと言う事だ。十中八九僕の中にある物なのだ。 歳をとるに連れ、モヤモヤとした感覚の中身が解る様になって来た。プールに潜る様に、
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