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一気に捲し立てるように言った。内容が内容だけに声は抑え気味にしたけど。話しているうちにだんだん高揚してきて、言い終わった後、少し呼吸が乱れてしまった。
呼吸を整えながら、落ち着いて目の前の人を見れば。腕組みをしながら、右手でこめかみの辺りを押さえていた。
その顔は先程の真剣なものから、若干ひきつっているように見えた。
そう、なるよね……
「あれって、本当に痛いん……ですよね…?」
その様子にちょっと怯んだ私は、ついそんな事をその人に訊いてしまった。
その人の片眉が、ピクッとわずかに上がった。
「私は男なので、その辺りの事はよくわかりませんが。世間一般の話として、そういう事はよく聞きますね」
冷たくきっぱりと返されて、自分の見当違いな問いに気付き、冷や汗が流れる。
絶対にモテるであろうその人が、これまでにもヴァージンをお相手された事があるかも…なんてゲスな勘ぐりというか、妙な思い込みがあったと思う。
「すっ、すみません!変な事訊いて…そう、ですよね!」
ばつが悪くなり俯いて、とりあえず謝罪の言葉を口にした。
「先程あなたは“想いを寄せた人”と言いましたが。私が記憶する限り、あなたと私は今日が初対面のはずです。……それとも、私が知らないだけで、あなたは私の事をよく知っているのですか?……あるいは、私がどういう人物かというより、“外見”だけに拘ったとか?」
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