夢の時間の終わり

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「夏休みが終わって彼女に告白された時は、正直びっくりした。彼女はずっと、何も言わないだろうと思っていたから。真っ赤な顔で『これ以上好きになれる人は、いないと思ったから』なんて告白されたら『じゃあ、付き合おう』て、無意識のうちに返していた」 拓夢さんの声音は、優しいままだった。 ──兄弟は姉だけ。小さい頃から、男の子にからかわれる事が多くて、男の子が苦手だった。そのせいか、彼女から告白するのも付き合うのも、俺が初めてだった。 「大事にしようと思った。大事にしているつもりだった。本当は付き合い方なんて、よくわからなかった。でも、俺に全てを預けてくれているような彼女の想いに、ちゃんと応えたいと思っていた」 拓夢さんの声色が、だんだん暗く沈んでいった。 どうして?拓夢さんならきっと、そんな彼女の事を、優しく包み込んでいただろうに。 ──冬休みの前に、二十歳(はたち)を過ぎた同期生で飲み会があった。男ばかりが集まったそんな場で、話題になる事なんて決まっていて。誰がかわいいとかスタイルいいとか。付き合っているとかいないとか。そのうち“初体験”の話になっていて。 『安西は、早そうだよな』 離れたグループにいた一人から、そう声をかけられた。
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