夢の時間の終わり

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え!?それって、なんか…… 「性格は、真面目でちょっと不器用。小柄で華奢で……どことなく、愛美ちゃんと似ていたかな。突然あんな風に声をかけられて愛美ちゃんの話を聞こうと思ったのは、それが理由の一つだと思う」 私の、全身が固まった。そんな理由が、あったんだ……どうしてだか納得するよりも、ズ~ンと気持ちが落下していく。 ごまかすように、拓夢さんから視線を逸らした。そっと、深呼吸を繰り返す。 その人が拓夢さんにとってどういう存在なのか、なんとなく予想がついた。 ──研修が終わり、同期で慰労会をした帰り道で彼女に告白された。彼女の気持ちには、なんとなく気付いてはいたが、深く考える余裕がなかった。大学生の時の事が過り、どう応えればいいのか戸惑った。 『安西くん、突然ごめん!私、告白するの初めてで。今まで、誰とも付き合った事もないし。こんな恋愛初心者の私が、安西くんに、こっ!告白とか、何やってんだよって、感じだけどっ!』 「彼女の勢いに圧されて俺は、無言で彼女を見つめた。彼女の赤かった顔が、さらに真っ赤になって、ちょっと心配になった」 そりゃそうですよ、拓夢さん。拓夢さんに見つめられたら、生まれたての赤ちゃんだって赤くなりますよ。
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