第1話 始まり

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第1話 始まり

「はぁ…疲れた…」 今日もいつもの日常が終わる。 つまらない日常が終わる。 仕事が終わってコンビニで弁当を買い、家に戻ってそれを食って風呂に入って寝る。 まだ仕事にやりがいを持っているならマシかもしれないが、俺は34にもなって家庭教師なんていい加減な仕事をしている。家庭教師って仕事は食べていくには十分な収入だが、社会的地位が低い。自営業みたいなもんだが、家庭から授業料を手渡しでもらうから記録が残らない。つまりは役所に届けを出さない限りは無収入者になってしまうのだ。そんないい加減な仕事に信用なんてあるわけがない。ローンも組めないしカードも持てない。こんな状態じゃ俺の人生終了だろ。 だが、そんな状況でも俺はそれを変えようとしない。 今のぬるま湯に浸かった生活に満足しているからだ。 俺はそんな自分が嫌いだ。 部屋に入りコンビニ袋から弁当を取り出し、スマホを片手に遅めの夕飯を食べる。いつも通り何も考えないでネットサーフィンをしていると興味を惹く広告バナーが出た。 『あなたの歴史を変えませんか?』 「あなたの歴史を変えませんか…?ふっ…本当に変えられるんならどれだけ嬉しいかわかんねーよ。」     
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