第4話 勝利

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美波と和田の表情に恐怖が宿るのが見えた。澤野が言った事が見事に当たっているのだろう。それに加えて澤野のスキルによりこの場から逃げる事のできない状況。それは精神的にかなりキツい。自分の思考の先を行っている人間により、場を支配されていれば、心が折れてもおかしくはない。それでもこのイベントが終わらないという事は2人の戦意はまだ削がれていないという事なのだろう。それだけでも称賛に値すべきだ。 「だから何!?レアリティで勝負が決まるわけではないわ!!」 「気ィ強いんやね美波ちゃん。ますます気に入ったわ。でもワイは早くシたいねん。だから教えたるわ。ワイの手持ちはSSが3枚や。どう足掻いても勝てへんで。」 澤野がニヤつきながら美波にそう告げる。すごく楽しそうに卑しい顔をしながら美波の心を圧し折ろうと、わざわざ手持ちの軽いカードから切って美波の心を少しずつ圧し折っていく。 「……っつ!!まだよ!!それでもまだーー」 「あ、そうそう。ワイのバディのあそこにおる優男の兄さんな、アレはアルティメットを持っとる。しかも2枚もや。」 「アルティ…メット…?」 「そうや。デタラメやないで。本当に持っとるんや。都市伝説みたいなスキルをあの男は2つも持っとるんや。」 美波が手に持つ剣を落とす音が一帯に響き渡る。その後に2人は膝から崩れ落ち、地べたに座り込む。 戦いは終わった。美波も和田も顔面蒼白で戦う意思が無い事は明白であった。 そして、脳内に戦闘終了と俺たちの勝利のアナウンスが流れる。 俺の初めてのイベントは勝利を収めることができた。 それと同時に辺りが闇に包まれ始める。     
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