第4話 勝利

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第4話 勝利

「はい、みーつけた!!おっほっほー!!女や!!女やで!!それもとびっきりの上玉や!!なぁ、シンさん!!」 澤野が歓喜しながら手招きで俺を呼ぶ。遅れながら俺も角を曲がると、そこには女の子と中年の男の2人のプレイヤーがいた。 中年の男の方はどこにでもいる普通のオッさんだ。何かを目立って挙げる事もないモブ全開のオッさんの中のオッさん、キングオブオッさんだ。 だが、女の子の方は凄まじい程の美人だ。腰まである長い黒髪、少したれ目の優しい瞳を持ち、美しさと気高さを併せ持つ女の子だ。 身に纏っている青のワンピースが彼女の清楚さを更に引き立てている。圧倒的なまでのその存在感に俺の心は彼女に釘付けになっていた。 「そんな…どうして…?」 俺が聞いた彼女の初めての言葉は恐怖の感情を帯びていた。だが、恐怖の中にも彼女の持つ気高さは失われていなかった。俺たちに先手を取られはしたが、彼女の瞳は次の一手を必死に考えている。その彼女の表情に俺は見惚れていた。 「みっ、美波ちゃん!逃げよう!逃げて態勢を整えるんだ!」 「はっ、はいっ!!」     
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