第一話 二人の出会い

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 私は、学園に中に入ると中庭へいくことにした。この学園の中庭は、緑豊かで小さな公園のようになっている。物静かな雰囲気の場所でお気に入りの場所の一つだった。  まだ少し肌寒いが、頭を冷やしこれからの事を考えるには、うってつけの場所だろう。それに、今は一人になりたい気分だった。休日は、ほぼクラブ活動の生徒しかいないので、中庭を利用する生徒はいないはずだ。  ……しかし、中庭には、既に制服を着た一人の生徒が、けやきの木の下のベンチに座っていたのだ。見かけない生徒だったが、その生徒はベンチに沢山の書類のようなものを広げ、一枚一枚確認している様子だった。  ……私は別の場所を探そうするも、その場所を動く事ができなかった。 だってあの生徒は、私を救ってくれた女性とそっくりだったから――。
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