第二話 リペア・マインド

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「え、えっと、神之月さん……」  そう、私がいうな否や、彼女は、また怒ったようなふくれっ面になり、私に抗議してくる。 「と、時名で構いませんわ――! こほん……私も理子と呼ばせて貰いますが、宜しいですか?」 「う、うん。大丈夫、大丈夫……!」  おしとやかそうな見た目とは違って、やっぱり気の強い女性だなと私は再認識する。 「え、えっとじゃあ、時名さん……」  ……もしかしたら「さん」付けが気に入らなかったのだろうか。少しばかりにふくれっ面になるも、妥協してくれたのだろうか、今度は抗議はなく、私の話に耳を傾けてくれた。 「……えっと、さっき、駅で私に馬乗りして、む、胸を揉んでたの……時名さん……?」 「ええ、そうです」 「あ、うん……そうなんだ……」 やっぱり、私の記憶は間違えてなかった。時名さんが当事者だった。   「あ、あの!? 眼鏡……、ごめんなさい。ああ、その前に思いっきり引っ叩いてしまってごめんなさい」  私はベンチに座りながら、時名さんに深々と頭を下げる。 「こほん……。いえ、私も役得……はっ!? じゃなかったわ、べ、別に気にしていません。眼鏡も予備が幾つかありますので、ご心配には及びません」     
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