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時名さんは、さきほどの小悪魔的な笑みを浮かべて、私に質問する。でも……表情は少し哀しみ、諦め、そんな感情が混じっているように見えた。
私は、時名さんの問いに答える。
「――。うん、信じるよ――。だって、私の心が壊れていたことは、私自身が一番知っていたから――」
「……そうですか。でしたら、私の力が、お役に立てて良かったです」
時名さんは髪を手ぐしながら、安堵の表情を浮かべる。
「その力を、私は【リペア・マインド】と呼んでいます」
「え……?」
「壊れた心を見抜き、その心を修復する能力の事です」
「リペア……マインド……?」
「私の家系では、稀にそういった能力を持った人間が生まれるのだと、死んだ母様から聞いています」
「う、うん……そうなんだ」
なんだか、とても重い話しをされている気がした。私なんかが聞いて良いのだろうか……。そんな事を考える。でも、聞かないという選択はしなかった。私は、もっと聞きたかった。時名さんの事を、もっと知りたいと思ってしまったからだ。
私は相槌を打ち、彼女の言葉に耳を傾けることにした。
「私には出来ないけれど、母様は人の心を読む事が出来たといっていたわ。もっとも、その力のせいで周りからは気持ち悪がられていたという話だけれど」
「……そうなんだ……」
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