第三章 私と彼女のカレーライス

1/12
前へ
/195ページ
次へ

第三章 私と彼女のカレーライス

 学園を出た私たちは、ショッピング街の方角へ歩いていく。時名さんの家は少し遠く、ショッピング街を抜けた山へ続く道の途中にあるとのことだった。いつもは電車を利用しているとのことだったが、今日は買い物をしたいということなので、歩いて帰ることになった。突然、時名さんの家にお邪魔することになった私は、なんだか夢のような気分だった。  周りを見回すとショッピング街が近くなってきた為か、人通りが多くなってきた。休日の為かいつも以上に混雑しているように感じた。  そんな混雑の中でも、時名さん私の右手を握りしめたまま歩き続ける。こんな女子高生的なシチュエーションはまったく免疫がなかったため、嬉しさよりも恥ずかしさが勝ってしまっていた。私は恥ずかしさの余り目を瞑ったまま、時名さんに引っ張られ歩いていく。 「ねぇ、理子は今日は何が食べたいですの?」  唐突に、時名さんが私に訪ねてくる。 「え……、うん、私は何でもいいよ」  本当は、寝る場所を提供してもらっただけでもありがたいのに、夕ご飯までなんて、申し訳ない! そう思ってはいるものの、言葉に出すと、きっとまた怒られるので今回はご厚意に甘えることにした。     
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加