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第三章 私と彼女のカレーライス
学園を出た私たちは、ショッピング街の方角へ歩いていく。時名さんの家は少し遠く、ショッピング街を抜けた山へ続く道の途中にあるとのことだった。いつもは電車を利用しているとのことだったが、今日は買い物をしたいということなので、歩いて帰ることになった。突然、時名さんの家にお邪魔することになった私は、なんだか夢のような気分だった。
周りを見回すとショッピング街が近くなってきた為か、人通りが多くなってきた。休日の為かいつも以上に混雑しているように感じた。
そんな混雑の中でも、時名さん私の右手を握りしめたまま歩き続ける。こんな女子高生的なシチュエーションはまったく免疫がなかったため、嬉しさよりも恥ずかしさが勝ってしまっていた。私は恥ずかしさの余り目を瞑ったまま、時名さんに引っ張られ歩いていく。
「ねぇ、理子は今日は何が食べたいですの?」
唐突に、時名さんが私に訪ねてくる。
「え……、うん、私は何でもいいよ」
本当は、寝る場所を提供してもらっただけでもありがたいのに、夕ご飯までなんて、申し訳ない! そう思ってはいるものの、言葉に出すと、きっとまた怒られるので今回はご厚意に甘えることにした。
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