第三章 私と彼女のカレーライス

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 きっと、時名さんと食べるカレーライスはおいしいだろう。そう思うと、食事の時間がとても楽しみになってきた。 *****  私たちは、ショッピング街にある少し大きなスーパーで食材を買うことにした。 「…………」  しかし、スーパーに入った所で、時名さんの様子がおかしくなった。おかしいというより、挙動不審というのが正しいかもしれない。辺りをきょろきょろ見渡すと、一人「うんうん……」と相槌を打っている。時名さんには悪いけど、ちょっと怖い。 「……どうしたの、時名さん?」  私が恐る恐る尋ねると、時名さんは少し引きつった顔をする。 「さ、さぁ、早速カレーライスの材料を買いましょう!」    私たちは、買い物かごを載せたカートを引きながら、買い物を始めるのだった。 「…………」  カレーといっても、種類は色々ある。時名さんはどんなカレーを作るのだろう。興味のあった私は、黙って時名さんの様子を伺うことにした。  時名さんは、私の視線を気にすることなく、さっそうと精肉コーナーへ向かう。そして、棚を見渡すと、一つのパックをかごに入れた。  ……ひき肉だった。  これは、キーマカレーでも作るのだろうか。てっきり普通のカレーライスをつくると思っていたので、出鼻をくじかれる思いがした。  続いて、もう一パックをカゴに入れた。     
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