第三章 私と彼女のカレーライス

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 ……牛モツだった。しかも焼肉用の味がついているやつ。  更に奥の棚に並んでいる様々な種類のソーセージを物色し始めたところで、私は時名さんに声を掛ける。   「あの、時名さん……。今日はどんなカレーをつくるの?」 「え!? ええ、スペシャルなのを作ってみようかと」  スペシャル……。特別なカレー……。このままでは、カレーではない何かが出来そうな雰囲気だったため、私も一緒に買い物を手伝うことにした。普通のカレーライスなら、私でも作れると思うから。 「と、時名さん! 私、普通のカレーライスが食べたくなっちゃった! ね、一緒に材料選びましょう!」  そういうと、私はひき肉と牛モツのパックを元の場所に戻し、豚肉のパックをカゴに入れた。 「え、ええ……。理子が普通のカレーライスが良いというのでしたら、そうしましょうか」  時名さんの顔が、笑っているようで少しだけひきつっているように見えた。 *****  私たちは、順調にカレーの食材を揃えていた。 「……豚肉、玉ねぎ、人参、じゃがいも……あと薬味は定番の福神漬け……お米はある?」 「ええ、確かあったと思います」     
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