第三章 私と彼女のカレーライス

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 ああ、こんな可愛い家に住めたらいいな。私は、そんなことを思いながら見つめていた。  時名さんが、その家の前で止まる。 「この家です。さぁ、どうぞ上がって下さい」 「え!? 本当に!? この家なの!?」 「え……ええ、な、何か問題でもありましたでしょうか?」  私は、顔を大きく左右に振って否定した。 「ううん、すごい素敵な家だなぁって思って……ちょっと感激しちゃった」  時名さんは少し照れた様子だった。 「そ、そうですか、それは良かったです。寒いので、早くお入りくださいな」    私は、緊張しながらも、時名さんの家に招かれるのだった。    *****  家の中に入ると、冷たい空気が遮断され体の震えも止まる。そして、周りからどことなく木の香りがするのを感じた。森の中に入ったような、そんな気分にさせてくれるような空間だった。辺りを見渡すと、木の温かさは感じるも、どこかしら全体的に生活感というかが無いような感じもした。そんな物悲しさな雰囲気があった。 「では、こちらへどうぞ」     
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