第三章 私と彼女のカレーライス

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 私は、ダイニングに案内される。ダイニングは、白い壁を基調とした部屋だった。床は無垢フローリングで出来ており、見た目でも木の温もりを感じさせている。部屋の奥には食事をするためのテーブルと椅子、そして窓の近くには大きな緑色のソファーがあった。  奥のテーブルや椅子もまた無垢の木で出来ているようで、部屋に馴染んでいた。窓の近くのソファーは見るからにふかふかそうで、あそこで寝たら気持ち良いだろうと、容易に連想させるようなものだった。  もしかすると、アレが噂の『人を駄目にするソファー』なのかもしれない。  ただ、家電製品については、天井にある大きな照明器のみで、テレビ等は置かれていなかった。その代わりだろうか。少し大きな、こちらも無垢の木で出来た本棚には、沢山の本がぎっしりと詰まっていた。覗いてみると、意外にも難しそうな本の他に、推理小説や恋愛小説、はたまたライトノベルのようなものまで様々なジャンルが置いてあった。  少女漫画も少しだけど、本棚の隅においてあった。時名さんのイメージだと、小難しい書籍や専門書ばかりと思っていたのだけれど、どちらかというと私でも読めそうな本が多かったので、とても親近感が湧いた。 「理子、お米はありましたわ」  隣のキッチンから、時名さんの声が聞こえてくる。   「そっか、良かった。じゃあ、一緒に作ろうか」     
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