第三章 私と彼女のカレーライス

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 ……確かにカレールーなのは間違いない。   「……超激辛……。もしかして、時名さんは辛党?」   「……? いえ、カレーといえば辛いが信条ではないかと思い、辛そうな名前の物を選ばせて頂きました」 「……大丈夫?」 「はい?」  確かこれ、テレビCMでやっていた食卓へ挑戦! とかいうキャッチフレーズのヤバイやつだったと思うんだけど……。   「……ええい! ままよ!」  私は、意を決すると、そのカレールーをドボドボと鍋の中に入れていく。部屋全体が、スパイスの匂いで満たされていく。 「げほっ! げほっ!」   「ど、どうなさいました!?」 「……ううん! 大丈夫! 大丈夫!」  しかし、うっかり鍋からでてくる蒸気を、直接吸ってしまった。直接はかなり危険だ。匂いだけでも、既に十分辛さが伝わってきている。これは、今まで食べたことのない辛さ……、と私は確信する。  しばらく煮込んで、全体的にとろみが出たところで火を止める。こうして、私たちの最初の共同作業の料理、カレーライス(激辛)は完成したのだ。 ***** 「出来ましたね」 「う、うん」     
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