第三章 私と彼女のカレーライス

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 私と時名さんは、リビングのテーブルに向かう形で座っていた。食卓には、カレーライス(激辛)が二人分。色が私が食べていたレトルトカレーに比べると、かなりヤバい感じがしている。 「それでは、頂きましょう」 「う、うん……。頂きます」  私たちは手を合わせスプーンを手に取ると、皿からカレーをすくう。   「……」  私は、食べる途中で手を止めると、一口食べようとする時名さんを凝視していた。時名さんの小さな口が開くと、スプーンが中に入っていく。そんな仕草を見ている私の心臓の鼓動は、どんどん速くなっていった。 「……お、美味しいですね……」  時名さんの顔が、少し引きつっている。そして、すぐさま水を口に含む。  私も、早速一口食べてみる。 「……か、辛い! けど、美味しい!」  辛味は強いけど、辛いだけじゃなくてちゃんとに旨味もしっかりとあった。辛さが好きな人には、癖になる味ではないだろうか。それに、いまの季節。この辛さは、体があたたまる。でも、ちょっと辛すぎだけど。  私は、一口また一口と食べ続ける。カレー自体も美味しかったけど、こんな気持ちで食べる食事は久しぶりだった。時名さんを見ると、すごい汗をかきながら、食べ続けている。 「と、時名さん!? すごい汗だけど大丈夫? 無理しなくていいんだから!」  「いえ……大丈夫です……。こんな辛さに、私は負けません!」 「う、うん……」     
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