熱いOL

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だいたい今の世の中じゃあOLという言葉さえ、政治的に正しくないとか言って、使えないんじゃないだろうか。 彼の代わりに私が歌詞を書くとしたら、どんなものになるだろう。 くすんだ空みたいな色のシャツと ベージュのパンツをパンツを脱いで 私はあなたの為にホットな制服に着替える 薄いピンクのミニのタイトスカートに 真っ白なシャツボタンを上三つ開けて 話しかける時にわざと胸を押し付けて あなたが私の顔をジロジロみても 私は知らんぷり、メガネにてをかけ 書類の話しかしない、そういうのって 嫌いかしら 熱いOLはいつも欲してるわ、夢中になれる何かを、もちろん仕事中にね 明日の朝みたいに漆黒なコーヒーと 童話に出てくるぐらい砂糖まみれのドーナツ 私は頼まれもしないのに、勝手にあなたに届けるの わざとこぼしてもいいけれど、それはちょっとやりすぎね、お局様が黙っちゃいないわ あなたは眉間にしわを寄せ、お尻を触ろうとするかもしれない 私は隙を与えず、砂糖まみれのドーナツを一口かじって身をよじる 熱いOLはいつも見てるわ、もっといいチャンスがないかを、もちろん仕事中にね どうだろう。70年台後半のお色気ロック路線ぽい歌詞ができた。昭和って本当にこんなのだったのかしら。今だったら、アウトだよね、もちろん。 熱いってことでホットパンツも考えたのだけれど、OLさんはホットパンツ履かないよね。 彼は今どこで何を待っているのだろうか。傷ついているのだろうか。慰めて欲しいのだろうか。現地の女の子とよろしくやってるのだろうか。彼が起こしたトラブルは今はマスコミが数字になると、群がっているが、また新しいホットニュースが巻き起これば、すぐに忘れ去られ、時の藻屑と消え行くだろう。 私はこの高級マンションの高層階で夜景を見ながら、いつまでも明るい夜の都会を眺めていた。
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