夜空になった彼岸花 (様々な詩をご紹介します)

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「千景(ちかげ)という名の少女」 チュールリ チュールリ ジーコロロ 慌てず騒がず フィルムは回る 十年経っても 同じ映像(え)で 埃と光は クラゲのごとく ジーコロ ジーコロ チュールリリ 孤独な劇場 一つの客席 ただ見下ろして 涙して あやとり映像 新規に追加 真紅の糸は 切れていた ヒトコブラクダは ため息ついた 鎖も毛玉も飲み込んだ チュールリ チュールリ ピーヒョロロ 最後の映像 フィルムは映す 千景(ちかげ)という名の少女の夢は 顔を知らない 母のぬくもり 九百九十八のチューリップと蜘蛛の糸 叫びながら 駆け出して 長い黒髪 手を伸ばす 届かない 届かない フィルムは外され 劇場は眠る 静かに砕けた ガラスの花瓶 千景という名の少女の詩 笛の低音 どこから響く チュールリ ジーコロ ピーヒョロロ 天使よ悪魔よ 少女は無罪 愛される夢を 見たかっただけ ただ振り向いて 欲しかっただけ 血の影 残像 まぶたは閉じて 千景という名の少女は夜空へ 血影という名の旋律に いつしか解け合い 消えていく 届かなかった星空で 少女は初めて母に抱かれる 子守唄を聞きながら 千の景色 見るように 少女は微笑む いつまでも  腕の中で 笛を吹く
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