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壊れた眼鏡
同徳大付属の制服はレトロな紺色のセーラー襟のワンピースだ。丈は長めで今時の女子高生からは程遠い。
女学生って言葉がピッタリのお堅いイメージ。
女子はみんなそれにぶうぶう言っているけど、私はこの制服に、長い髪を一つに編み込みすれば、いかにも勤勉な学生感じで、気合いが入るような気がしていた。
「真帆髪の毛下ろしてみればいいのに」
そう言ってロープみたいに編み込んだ私の髪を軽く引っぱるのは、クラスで後ろの席だったことがきっかけで仲良くなったさっちゃんだ。
さっちゃんはこの高校では女子力が高い方で、いつも同じ髪型の私が気になるようだ。
「眼鏡もコンタクトにしたら? っていうか最初から眼鏡かけてたっけ?」
「えー、そんなの真帆には似合わないよ」
さっちゃんが私のイメチェン作戦を提案すると、決まって横やりを入れてくるのはくるみだ。
くるみとは中学から引き続き、めでたくクラスまで一緒。
さっちゃんよりもくるみの方が私のことを理解しているから、やっぱり私は中身もこのままのイメージなんだろう。
「私はいいの。このままがいい」
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