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路地裏の再会
レントくんと電話番号を交換した。
『レントくんを知っている』から『レントくんと知り合い』に私の立場は昇格した。
今度こそくるみに言ってもよかったんだと思う。
くるみに話したらきっと喜んで紹介して欲しいって言うだろう。
この間話した感じだとそこまで怖くはないから、くるみを紹介したいって言ったら、案外受け入れてくれそうな気もする。
だけど私は言えなかった。
それがどうしてか自分でも分からない。
レントくんの番号をメモリしたスマホが、いつ彼からの着信で鳴り出すんじゃないかと気が気じゃなくて、どうか鳴らないで欲しいって思ったりもしている。
――あの人のこと、苦手かもしれない。
レントくんはきっと私が眼鏡をかけている理由をバカらしいと思ってる気がして。
彼のような人に、自分でもよく分からない不安を分かってもらえそうな気がしなくて。
また会うのが少し怖い。
眼鏡のない私にクラスメートも私自身も慣れてきてしまって、レントくんに言ったように眼鏡がなくても困らないっていうのも、理由のひとつなのかもしれない。
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