桐谷くんとすみれちゃん

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「退学……」 「それが原因でタクが校内で逆恨みみたいな暴動起こして、タクはその時停学処分になったんだけどさ」  私はなんて言っていいか分からなかった。喧嘩で停学になったり退学になったりするなんて知らなかった。 「レントくんは……」 「俺? 俺だけ何もしてない。タツオくんのこと助けられなかったし、タクには無理やり逃がされたっつーか。なんかその時のこと俺だけ消化できてないって感じ」  レントくんの方を見ると、どこか遠くを見るような少し切ない表情をしていた。見たことのないレントくんの顔。だけど私は、初めてレントくんの心の中を少し見たような気がした。 「だからレントくんは喧嘩を続けるの……?」 「そ。タツオくんはもう就職してるし、逆恨みとか仕返しとかそんなんで自分の人生台無しにするなって、説教してくるんだけどさ」 「うん」 「アマチだけのうのうと卒業して、デカいツラしてこの辺歩いてるのかと思うと、なんかやりきれないっつーかさ」 「……うん」 「まあ、そんな感じ」
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