【番外編】真帆とレントのバレンタイン

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「岩ヤンって……、すみれちゃんのお父さんでしょ? いい加減、岩本先生って呼んであげたら?」 「クラス委員みたいなこと言うね、真帆」 すみれちゃんのお父さんなんだから、とレントくんを諫めると、レントくんはわざと嫌な顔をしてみせてきた。 実際中学までは毎年のようにクラス委員だった私は私で、ムッとする。 だってすみれちゃんのお父さんが、熱心に言ってくれたから、レントくんは出席日数をクリアできそうなんだって、タクくんが言ってたぐらいなのに。 もっと感謝した方がいいと思う。 「そんなムクれるなって。岩ヤンっていうのはアレだよ、愛称? 的な」 「……学校行って何してるの?」 「たいがい寝てる」 「……ダメじゃん」 「まあ、卒業しちまえば、こっちのもんだろ。岩ヤンが言う条件満たしてんだから、もう楽勝だろ」 「……うーん」 楽勝、なのかな? レントくんの学校生活については、見に行くわけにもいかないので、レントくんの言葉を信じるしかない。 「レントくん、卒業したらどうするの? 庭師さんになるの?」 「いや、タツオくんに真似すんなって怒られたわ」 「……」 そう言ってレントくんはケタケタ笑ったけれど、私は笑っていいのかよく分からなかった。
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