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毛布の下から白い顏が浮かび上がる。
驚きの余り絶叫しそうなユヅキの口を
MITAが素早く塞ぐ。
「ピノコも泣くんだね」
── ピノコって誰だよ!
って、今白塗りでいる意味が解らないよ。
「ケイが夜這って来たかと思った?
ごめんごめん、お姉さんでした」
── お姉さんじゃないだろ。
「どうしたんですか、こんなに遅い時間。
角爺の書庫で寝たんじゃなかったんですか。
MITAさんも眠れないの?」
ユヅキは毛布でさりげなく涙を拭く。
「私を誰だと思ってんの?MITAよMITA!
本来、睡眠なんてあんまり必要じゃないのよ」
「あの……ちょっと話づらいんで
白塗り解除してもらって良いですか」
黒いスウェットを着たMITAの
真っ白い顔だけが宙に浮かんで見えていた。
「図書館では白塗り必須だったからつい……ね」
MITAは面倒臭そうに白塗り顏を解除する。
「で、どうしたんですか?
眠れないなら本でも読んでいれば良いじゃないですか。
本なら書庫に一生分位あったでしょ?」
「それだよ。読んだんだ。まだ全部じゃないけどさ」
── え。巻物から始まりデータ書籍まで膨大な量あったよ。
「あんた達さぁ。
神農をあんなにスンナリ信用して良いの?
何か引っかかるんだよね。
野菜はそこそこ美味しいし
この施設を利用するのは悪くないけどさ。
用心するにこした事ないよ」
「記録読んで何か解ったんですか?」
ユヅキは思わず身を乗り出す。
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