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散歩の話をしているうちにケイの家は
ユヅキの家からバス停一つ位しか
離れていないことが判った。
ユヅキの一つ前のバス停から
ケイはバスに乗っているようだ。
桜に彩られた校門をくぐると
生徒達は担当の教師から
クラス分けのプリントを受け取って
それぞれの教室へ向かう。
ユヅキは慣れない学校に戸惑いながらも
事前に指定された教室を探した。
「あった!」
教室を見つけると
当たり前のようにケイも
同じ教室に入って来た。
幸運な事にケイも同じクラスだった。
まだ子供だったユヅキは
そんな小さな偶然が
まるで何かの運命のように感じられて
小さく身震いした。
「良かった。ユヅキも同じクラスなんだ。
春から楽しくなりそうだね」
屈託無くケイは言う。
ユヅキはおどおどと頷く。
高校に入るまでユヅキはあまり
男子と話をした事が無かったのだ。
イチゴのお陰で
ユヅキの高校生活は順調に
滑り出したかのように見えた。
犬は単なるラビリンスの入口とも知らずに。
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