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転校して来たばかりのユヅキは
なかなかクラスメイトの顔を
覚えられなかった。
元々ユヅキは人の顔を覚えるのが苦手だ。
でも、
中等部からこの学校だったケイのお陰で
すんなりクラスに馴染む事が出来た。
ケイは中等部の頃から
勉強だけじゃなくスポーツもデキる。
しかもそれを鼻に掛けるようなところが
無い。
そして何より人目を引く
スラリとした容姿と
どこか洗練された身のこなしは
良家の子女が多いこの学校において
ある種羨望の的だという状況は
ユヅキの耳にも入って来た。
ケイの側にいるユヅキは
女子達から見れば疎ましい存在だったに
違いない。
そんな理由からか
ユヅキに女の子の友達は
なかなかできなかった。
でもある日、
教室でケイと昼ご飯を食べていると
一人の女子が二人の間に割って入って来た。
高校生にしては大人っぽい顔立ち。
手入れの行き届いた巻き髪が
柔らかく揺れる。
優雅な微笑みの後ろに
隠し切れなかった敵意が
見え隠れしているのを敏感に
ユヅキは感じ取った。
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