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光源氏の父が 桐壺帝。
光源氏の母が『桐壺更衣』。
帝の寵愛を一身に受けた桐壺更衣の死後
桐壺帝のもとに入内したのが
桐壺によく似た『藤壺の女御』。
藤壺の女御にソックリな『紫の上』は
藤壺の兄、兵部卿の宮の娘。
つまり藤壺の姪。
ちなみに桐壺の更衣にソックリな藤壺は
桐壺の更衣とはなんの血の繋がりも
ないらしい。
藤壺の女御と紫の上は叔母と姪。
藤壺と桐壺は赤の他人……。
一人の夫に複数の妻。
愛するひとによく似た誰か。
ユヅキはハッとしてケイの席を振り返る。
ドッグと二人でふざけ合っていたケイは
そんなユヅキに「ナイナイ」という
ジェスチャーをした。
授業が終わってケイは
ユヅキの席にやって来た。
「アレは大昔の小説。作り話だよ。
作者の都合で何とでも書ける」
解っている。
解っているけど桐壺と藤壺みたいに
他人の空似って事も
あるんじゃないかと……。
そんなユヅキの心を見透かしたように
ケイは小声で言った。
「名前の類似点とか誕生日とかも……
ただの偶然とは考え難いよ」
ケイはそう言いながら、ユヅキが授業で
さっぱり理解できなかった所を
わかり易く丁寧に教えてくれた。
焦らないで。
夏休みに入ったら
中央のデータベースにハッキングして
僕達の真実に辿り着いてみせるから……。
中央のデータベースは
セキュリティーが尋常でない。
侵入は不可能と言われているし、
この違法行為は破滅を意味する。
そこまで厳重な秘密にまで
ケイは行き着いたというのだろうか?
ケイの横顔を独占して
ずっとこの人の隣にいたいと
ユヅキは密かに思った。
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