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ドッグが爆発した頭をがりがり掻きながら
ドタバタと駆け寄って来てケイに聞く。
「次のクラス替え、
ケイはどの分野志望した?
俺、まだ進路志望申込書
提出してなかったワ。
締め切り夏休み前までだったよな?」
「あんた何言ってるの?まだ出してないの?
聞かなくてもケイは医療系に
決まってるでしょ?」
隣のクラスなのに
又も乱入して来たユキナが
ドッグに噛み付く。
もしドッグに尻尾があったなら
足の間に挟んで縮こまったに違いない。
「だってアレ、
一旦出したら変更はきかないんだろ?
俺、決断力無いから決められないんだよぉ。
何で俺、隣のクラスの悪役令嬢にまで
怒られなきゃいけないんだよ」
横で繰り広げられるドタバタをよそに
ケイはいたって冷静に答える。
「僕は……
福祉系のクラスに申し込んだよ。
だいぶ前に」
──え ……?
一瞬クラスが静まり返る。
ウワサッチが身を乗り出して
成り行きを凝視している。
我に返ったように辺りは再び騒めき始める。
「ちょ、何でよ!
世界を牽引する山本教授の息子が
何で福祉系なのよ!
ケイは名医になるべく
未来を嘱望された優秀な生徒じゃない。
って……どうしてくれんのよ!」
ユキナはキッとユヅキを睨む。
ケイの決断は
ユヅキの影響だとでも思ったようだ。
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