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慌ててユヅキは首を振る。
「僕の未来は誰のものでも無い。
僕自身のものだ。ユキナにとやかく
言われる筋合いはないよ。
だいたい君は、薬科系か経営系に
進むべき人だろ?」
青ざめるユキナにお前には関係無いと
皮肉を込めてケイは返す。
「……ちゃったのよ。
今度こそケイと……
同じクラ…スになりたくて」
── え……?
「私、医療系申し込んじゃったのよ!」
「大手製薬会社を継ぐ為に
薬科系とるべきじゃなかったの?
敏腕経営者のお母さんの後を継いで
経営学系とか……まぁ、医療系でも
畑が違い過ぎる訳でもない。問題無いよ」
──いや。問題だろ。
そもそも、ドッグ……問題はそこじゃない。
キョトンとするドッグを突き飛ばして
ユキナは教室を出て行った。
「イテテ……。
いくらケイのファンだって
さすがに進路までお揃いにしないよな?
普通」
ドッグの言葉にユヅキは
下を向いたまま青ざめた。
ユヅキもユキナと……同じだったからだ。
「私は……医療系。
あ、別にケイと同じにしたかった
とかじゃ無くて」
ユヅキはしどろもどろに嘘をついた。
──散歩の時、
私はケイから聞いていたのに。
心のどこかでタカを括っていたのかも
知れない。
今は悩んでいても最終的に
ケイは医師になる道に進むだろうって……。
しくじった。
進路志望申込書どうするのか
聞いておくべきだった。
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