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夏休みに入るとユヅキは
ケイに会う時間が大幅に減った。
会えるのは早朝の散歩位だ。
イライラする。
元々理系の頭じゃないクセに
クラス編成の進路希望を
医療系で提出してしまったユヅキは
夏休み中もみっちり
補習授業を受けるハメになった。
成績優秀なケイは学校に呼ばれる事も無い。
夜ベッドに入る頃には
ヘトヘトに疲れ切っていた。
なのに中々寝付けない。
モヤモヤする。
──気付くといつも
ケイの事を考えてしまう。
どうして私ばかりケイの事を考えるのか。
※ケイも少しは私の事を
考える時があるのか。
どう考えても『好きの割合』が
私ばっかり多いだろう。
二人は付き合っていると言えるのか。
そもそもケイは私をどう思っているのか。
良く考えたら好きだと言われた事も無い。
でも、キスされた事あるよ!
ん?……アレはキスか?
ケイが好きなのは私じゃなくて、
イチゴなんじゃないのか?
何か悔しい。アレ?誰に対して悔しいんだ?
(※へ戻る)
今度会ったら、ちょっと冷たくしてやろう。
深夜の決意も忘れ
朝になるとイチゴと二人
尻尾を振ってケイとサンゴのもとへ
会いに行く。
ウキウキする。
過熱されていくユヅキの想いとは反比例して
普段から明るく人懐っこかったケイは
口数も減り物思いにふけっている様子が
多く見られるようになっていった。
やはり進路の事で
家族と上手くいっていないのか
それともアヤメとアヤコの事なのか。
ユヅキからケイに
その話を訊くのはなんとなく憚られた。
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