黒犬

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「ありがとう、ありがとう母さん」 「やだ。どうしたの?赤ちゃん返り?」 ユヅキの母はおどけてユヅキをからかった。 黒犬が小首を傾げて 不思議そうに二人を見上げた。 ──このコはただの犬なんかじゃない。 右も左も分からない土地で友達もいない。 私とこの犬は同志なんだ。 犬の境遇と自分を重ね合わせて ユヅキはそう思った。
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