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【2005年12月20日】
もう間もなくクリスマスを迎える夜の公園は、キラキラと光り輝くイルミで彩られ、色とりどりの朧な光を闇の中に投げかけている。
「うわぁ!すっごい綺麗」
「だね」
公園の喫煙所前に設置されたクリスマスツリーの前で、はしゃいでるだろうカップルの会話を聞くとも無しに聞きながら、入川宏はここへ来てから三本目となるタバコに火を着けた。
二人仲良く携帯のカメラで自撮りするカップルの姿は、微笑ましいと思えたし、他人事ながらもお幸せにと思えたりもする。
なのに、初めて訪れた訳でも無いのに、この場のどこかに居心地の悪さを感じてる自分は………と物思いに耽っていた入川の顔に皮肉めいた笑みが浮かぶ。
この時期。このロケーションであれば、待ち合わせの場所には不適。
しかも。その待ち合わせの相手が、高校卒業以来、十数年ぶりの再会を果たした同級生で人妻とくれば………
「居心地悪くても当然か………」
吐き出したタバコの煙と共に漏れ出た、声にならない入川の独語は、キラキラと輝くイルミの光に掻き消され、闇の中へと消えて行く。
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