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 小さな資料のタワーを幾重にも重ねて大きなタワーを何棟かつくった。  そうして、なんとか畳一つぐらいのスペースを確保すると、足を折り畳んで横になった。周囲をぐるりと囲むようにして資料のタワーが私を覗いた。高層ビル群を初めて見た時と同じ感覚がした。言葉に出来ない圧迫感。嫌だ。新鮮ではあるけれど、求めていた感覚ではない。  なんだか気味が悪くて、そこから目を逸らそうと、誤魔化そうと、寝返りをうつと、頭上から雪崩が押し寄せた。紙じゃなくて本物の雪だったら生死に関わる量だった。室内で雪崩事故。  直ぐに顔を雪面に出し現状を把握する。被害は大したことはない。体を脱出させると、大きくため息をつく。今からこの資料の山を片付けるのは骨の折れる作業だった。父は怒らないだろうけど、学会で疲れている所に追い討ちはかけたくないし、さっさとやってしまう他なかった。  『人類生存率80%』『生体反応有』『電波通信不能』『資源量による相対的進度』『無対処時生存率50%』  理解するのに時間がかかりそうな文章がびっしりと紙を埋めている。分類なんて出来ないし、元の順番にも戻せないけれど、取り敢えずタワー状には直しておいた。
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