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「え!正気ですか?あ、いえ、失礼いたしました。・・・やめておいたほうがいいと思いますよ。大きい声では言えませんが、我々スタッフの中にもテストドライブ中に若い女性が後部座席に見えたなんて声もありまして・・・」
「大丈夫ですよ。私は霊感ゼロですから!全く信じてません!」
結局、私は渋る店員をよそめにどんどん手続きを済ませ、晴れて車を購入することとなり、そして、初めてのドライブを迎えた当日。
悠々と続く山道を鼻歌交じりに駆け抜けていた時のこと、私は見てしまったのだ。
後続車を確認するために、ふとバックミラーを確認した時、白い服の女を一瞬だけ。
「え・・・」
それまでの楽しいドライブはどこへやら、顔面蒼白になった私はすぐさま車を路肩に寄せると、女がいたはずのシートを確認した。
・・・
でも、そこには誰かが座っていたような痕跡は見つけられなかった。
「気のせい・・・だよな・・・」
おそらく店員の話を聞いたせいで、幻覚でも見たのだろう。
私はそう自分に言い聞かせて運転を再開した。
それからしばらく、私はおっかなびっくりにバックミラーを確認したが、女の姿なんて見ることは全くなく、やはり気のせいだったのだろうと怖気づいていた自分を笑った時、・・・異変に気付いた。
そう。
確かに、後部座席には女の姿は無い。
でも、それは当たり前だった。
なぜなら・・・
私の心臓は早鐘を打ち、冷たい汗が頬を伝う。
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