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視界の端、ギリギリ見えるか見えないかぐらいに白い布切れのようなものがちらちらと映る。
ぜえぜえと浅い呼吸が繰り返され、ごくりと生唾を飲み込んだ後、私は恐る恐る視線を助手席に向ける。
ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと・・・
そして、私ははっきりと見た。
後部座席に座る女の霊を。
私は声にならない悲鳴を上げ、それと同時に前方から大型トラックのクラクションが鳴った・・・
・・・
私はその時気を失ったらしく、そのあとの記憶は無い。
だが、暫くして目を覚ました私は、自分が間一髪で危機から逃れていたことに気が付いた。
ガードレールすれすれで車は停車していた。
後ろを振り返れば、車が残したタイヤ跡がまざまざと道路に焼き付いていて、それを見れば、トラックとの正面衝突直前に車は勝手に左にカーブし、それでも勢いづいた車がガードレールとぶつかりかけた時に急ブレーキがかった事が分かった。
当然、簡単に意識を失った自分がとっさに取った行動なはずはないし、もとより普段からどんくさい私にこんな芸当できないだろう。
では、だれが・・・?
私は助手席に視線を向けたが、そこには誰もいない。
結局、私はそのまますぐに家へと引き返したが、
今になって考えてみればわかる。
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