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外はHUの共同広場だ。個人の内世界は共有オープンもできるしクローズドにもできる。
私は医師から強制的にクローズされている。外にアクセスしようとしてもモニタしてる技師からはすぐわかると。だからHUに侵入されて警告が一切無かったのは印象的だった。
「いいとこだねここ」
10歳ほどの少年が突然浜辺に現れた。
「新しいHUだね? なんで隠れてるの?」
笑う彼は好奇心全開の眼差しを向けてくる。もしやと思っていたが、他のHUには隠されていたのだ。
「しかも君、生まれたてじゃないね。もしかして僕より大きい? 視界借りるよ、うわ、ちっちゃいなあ! 僕の外見ってこんなもん? ああ君の補正が入ってるのか。父さんたちから見た僕はこんな感じ」
オートクチュールはここ10年ほどの技術だ。それを覚えていたから無意識に年下の従兄弟を連想したようだ。軽い明滅と一瞬碧眼プラチナブロンドの少年が現れてすぐ戻る。
「だからかー。あとから接続される子はめったにいないけど、大体隠されてるんだよね。防護壁カムフラージュですぐバレちゃうのにね。あとからの子は広場に連れてくなって先生から止められててさ。『酔う』んだって。でもひとりじゃつまんないよねえ、こっちこない?」
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