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届いたのは縦横が四十センチ以上ある板状の荷物だった。送り主が美大で同じ油絵科だった黒崎悠次だと分かってみれば、中身は彼が描いた絵ではないかという気がしてきたが、それではなぜ突然そんなものを送ってきたのかということになると、結局のところ思い当たることは何もなかった。
私は荷物をリビングのテーブルの上に置いて、台所から戻っていた妻の前で梱包を解いた。
「それで、送り主は誰だかわかったの?」
「ああ、油絵科でいっしょだった黒崎悠次だ」
「画家さんなの?」
「どうだろうなあ……。卒業して二、三年後に私費でフランス留学したという話を人づてに聞いただけで、その後のことは何も分からないんだ。ただ少なくとも、作品に買い手がつくという意味でのプロにはなっていないはずだよ。彼の場合、奥さんが資産家の娘で、食うために絵を描く必要はないんだけどね」
厚手の撥水紙に包まれていた木箱のふたを取ると、キャンバスを縦に使った油絵が額装したままの状態で現れた。
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