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それで、麗の口数は段々減っていった。
「坂本さん。もう、その位にしたら……」
それまで静観していた柏木さんが、麗の姿に堪らなくなったのか。俺に対し、優しく口を挟んできた。
小さくなってる麗は、確かに哀れに見えるし。確かに、可哀想だった。
でも、ここで優しい言葉をかけたら。俺たちの関係に、完全なる終わりは来ないだろう。
「麗。だから俺たちは、終わりにしよう」
「本当に、終わりなの……」
「俺たちは、そうした方がいいんだ」
これで、完全に終わったと俺は思った。
目の前の麗は、涙を流しながら。瞳の奥に、決意のような力強い意志が見て取れる。まさか、ストーカーにでもなるつもりじゃ無いだろうな。
そうなったら面倒だけど、今は何も考えたくない。しばらくは、考えないようにしよう。
そして俺にはもう、この場で何かをすることも出来る事もないと判断した。
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