ーーそして、終息へ

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   予想もしない俺の言葉で、出鼻を挫かれた麗は言い返せずにいる。  少しすると麗は、あの言葉を言うだろうな。恋人や夫婦間での、あの定番の台詞をね。  ちょっと、ベタかしら。みたいな表情が一瞬見えて、立ち上がった麗が予想通りの台詞をぶちかました。 「仕事と、私のどっちが大事なのよ」 「それは仕事にかまけて、相手をないがしろにされた人間の台詞だろ」  麗の場合は、付き合いを優先するあまりに、俺の仕事に影響を出した。だったら、そんな事を言われる筋合いは無いよな。 「麗はさ、俺の為とか俺の事を考えてとか言って色々する。だけど全部、自分が満足する為にしてるだろ」 「そんな事…… ないよ」  どっかで、図星だったのだろう。言葉につまっている。  後は麗のしてきた事が、どれだけ自己中だかを順を追って説明していくだけの作業だった。反論の言葉は、反論にならず。かえって泥沼化するだけ。
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