ーーそして、終息へ

32/34
前へ
/140ページ
次へ
  「柏木さん、ご迷惑をおかけしました。また、連絡しますね。失礼します」 「あっ、はい。どうも……」  唐突に立ち上がった俺に、柏木さんも驚いて呆気にとられていた。だが声をあげて泣き出した麗に、自分を取り戻したみたいだ。  扉を開いて、一度だけ振り替える。すると、柏木さんが麗に耳打ちしてる。 「えっ、なんで……」  柏木さんが、何を言ったか聞こえなかった。だが、麗は信じられないって顔をして立ち竦む。 「だって、味方だって……」  麗のそんな言葉を聞いた時、玄関の扉を閉めた。  柏木さんは、麗と何かしらの協定を結んでいたのかもしれない。それが、破綻してしまったのだろう。  それが、何を意味するのかは俺には分からない。だが、麗の瞳の決意は消えていた。柏木さんの裏工作…… 彼女は、一体何者なんだと思う。  それから二週間。  麗からの連絡は、一切が無くなった。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加