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「柏木さん、ご迷惑をおかけしました。また、連絡しますね。失礼します」
「あっ、はい。どうも……」
唐突に立ち上がった俺に、柏木さんも驚いて呆気にとられていた。だが声をあげて泣き出した麗に、自分を取り戻したみたいだ。
扉を開いて、一度だけ振り替える。すると、柏木さんが麗に耳打ちしてる。
「えっ、なんで……」
柏木さんが、何を言ったか聞こえなかった。だが、麗は信じられないって顔をして立ち竦む。
「だって、味方だって……」
麗のそんな言葉を聞いた時、玄関の扉を閉めた。
柏木さんは、麗と何かしらの協定を結んでいたのかもしれない。それが、破綻してしまったのだろう。
それが、何を意味するのかは俺には分からない。だが、麗の瞳の決意は消えていた。柏木さんの裏工作…… 彼女は、一体何者なんだと思う。
それから二週間。
麗からの連絡は、一切が無くなった。
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