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正体不明の無言電話や、迷惑メールに近いようなメールも来ない。それは、職場に於いても同じで平和な日々が続いている。
「坂本さん、もしかして麗さんと別れたんですか?」
「うん、どうして分かったの」
「最近の坂本さん。何だか、晴れやかな顔をしてるので。もしかしてと思って」
俺は、そんな顔して仕事をしてたのか。
確かに俺と麗は、別れられたのだ。一応、現時点ではだけれど……
俺は、この恋で学んだ。
一方通行に押し付ける愛情は、時に相手を傷付ける。愛情が強いほど、その行為は激しさを増していくのだと。
愛情の方向性を間違わなければ、一方通行がそうでなくなる事もあるだろう。
麗の愛情は、確かに一途だった。その方向が、自分が愛される為だけに相手があると考えた事だろう。それが、大いに間違いだったんだ。
愛される為に相手を愛すれば、こんな事にはならなかった。
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