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「これを見れば、信じて貰えますか」
スーツの腕を捲り、細く白い腕が露になった。左腕の肘の辺りに、赤い火傷の跡がある。
俺が就職の為に、バイトを辞める一週間くらい前。ファミレスの厨房で、寸胴鍋のお湯が麗ちゃんの腕にかかる事件があった。
「あの時、坂本さんが右手を引っ張ってくれなかったら……」
麗ちゃんは間違いなく、左半身を大火傷を負っただろう。
「本当に麗ちゃんなんだね」
「はい。改めて、お久しぶりです」
取り敢えず、麗ちゃんだとは確認出来た。だけど、何故オレに会いに来たのか。どうしてあんな美人に変身したのか、謎は深まるばかりだ。
モデルクラスのスタイルとルックスに、柔らかな物腰。こんな女の子が、彼女だったなら。カフェで話しながら、一瞬そんな風に考えていた。
「坂本さん。その後、彼女とかは出来ました?」
「出来る訳がないよ。だって、この顔だぜ」
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