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その後、すっかり具合いが良くなった俺はまた元の生活を送っていた。
けれど変わったこともある。それはどんなに忙しくても時々は実家に帰るようになった。
そしてあの時、言い忘れてた「婆ちゃん、ただいま」を言うと仏壇に手を合わせる。
俺の意識が戻る少し前に息を引き取ってた婆ちゃんの最期、俺は結局、見送ってやれなかったし。
後、実家に帰って来るようになったのは理由がある。ちょっとチャレンジしたいこともあってさ。
実は、母さんに婆ちゃんの料理を教えて貰うようになったんだ。
別に料理男子目指してるって訳じゃないけど…
まっ、長いこの先、自分で料理を作れるに越したことねぇし。
それを知ったら婆ちゃん、喜んでくれねぇかな。
そう言えば…俺が意識を無くしてた間に不思議な事があったらしい。
俺の意識が回復して父さん達が一度家に帰ると家の台所のテーブルには婆ちゃんの料理が沢山作ってあったそうだ。
婆ちゃんだって危篤の状態だったのに…そんなこと信じられる訳がない。
けれど、母さんが家から持ってきたその煮豆やキンピラを食べてみると…
確かに俺があの時、食べたものと同じ味だった…
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