後悔バス

25/27
前へ
/27ページ
次へ
その後、すっかり具合いが良くなった俺はまた元の生活を送っていた。 けれど変わったこともある。それはどんなに忙しくても時々は実家に帰るようになった。 そしてあの時、言い忘れてた「婆ちゃん、ただいま」を言うと仏壇に手を合わせる。 俺の意識が戻る少し前に息を引き取ってた婆ちゃんの最期、俺は結局、見送ってやれなかったし。 後、実家に帰って来るようになったのは理由がある。ちょっとチャレンジしたいこともあってさ。 実は、母さんに婆ちゃんの料理を教えて貰うようになったんだ。 別に料理男子目指してるって訳じゃないけど… まっ、長いこの先、自分で料理を作れるに越したことねぇし。 それを知ったら婆ちゃん、喜んでくれねぇかな。 そう言えば…俺が意識を無くしてた間に不思議な事があったらしい。 俺の意識が回復して父さん達が一度家に帰ると家の台所のテーブルには婆ちゃんの料理が沢山作ってあったそうだ。 婆ちゃんだって危篤の状態だったのに…そんなこと信じられる訳がない。 けれど、母さんが家から持ってきたその煮豆やキンピラを食べてみると… 確かに俺があの時、食べたものと同じ味だった…
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加