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「……頼さん」
名前を呼ばれたので反射的に浅見の方を向くと、浅見が真剣過ぎるくらいの表情で俺をじっと見つめていた。
「…………もう一度、謝らせてください」
僅かに顔が歪んだ。
「ごめんなさい……」
浅見は身体をこちらに向けて頭を下げた。いつの間にか正座になっている。浅見はしばらく頭を下げ続けた。
「……もう、顔上げろよ」
俺の方からそう言いたくなってしまうくらいだった。
浅見がゆっくりと顔を上げる。いつも自信に満ち溢れた表情をしている浅見が、少しだけ泣きそうな顔をしていて。
「……でも……僕は、絶対に頼さんを諦めたくありません」
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