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 突き放したつもりが、浅見の前向きな捉え方に思わず怯んだ。  浅見が心底ホッとしたように表情を崩したので、余計に面食らった。 「……頼さん」  その隙を突かれた。  突然、唇を奪われた。  ほんの一瞬。軽く触れるだけのキス。 「……なっ……!!」 「好きです、頼さん」  そう言われて両手を握られた瞬間、動きがフリーズしてしまった。顔が、身体が全部熱くて、火を吹きそうなくらいという例えが最適なくらいに照れくさくて堪らなかった。  あまりにストレートな改まっての告白は、俺の心を激しく掻き乱していく。でも、抱かれたときのような怒り混じりの混乱とはまるで違う。 「頼さんのことが、堪らなく好きです」  この美しい男は、綺麗で若い女でもない、それどころか若い綺麗な男でもない俺のことが好きなのだと言う。  ――――どうして?  どうしてこんなに俺のことが好きなの?  怒りはなかった。ただ純粋な疑問が頭の中を駆け巡った。
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