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 浅見の手は意外に温かい。冷酷無比なイメージからは想像つかないような柔らかい温かさ。  いや、一度は抱かれてるんだから冷たくないことくらいわかってたはずなんだけど。まぁあれは風呂上がりだったし? いや、何考えてんだ。相当動揺してるだろ、俺。  とにかく、何だか今の俺にはこのぬくもりが心地よかった。 「……キス、嫌でしたか? それならもうしません」  浅見の目が優しく細められて、言葉が出なかった。ますます顔が熱くなる気さえした。  情けないことに、俺には咄嗟に突き飛ばすことも責め立てて罵ることさえもできなかったのだ。  はっきりと気付いてしまった――――俺はこのキスが嫌じゃなかったこと。 「……頼さん?」  お願いだから、俺を見ないで。  俺の心を読まないで。  違う、違うじゃないか。  俺が好きなのは、俺が好きなのは―――― 「……頼さん、僕はあなたの心が欲しい」
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